民法改正5つのポイントー④契約不適合責任ー

売買契約及び請負契約における契約不適合責任について説明しています。売買契約一般、建築請負契約に関わる方はお読みください。


改正の影響がある企業
・売買契約、請負契約を締結する企業
・自ら売主となって、宅建業者以外の者に対して宅地、建物を売却する宅建業者


改正による具体的な影響
・改正前の瑕疵担保責任と同様の責任を定めたい場合や、契約不適合責任とは異なる内容の責任を定めたい場合、契約書に反映させる必要があります。
・宅建業者自ら売主となって、宅建業者以外の者に対して宅地、建物を売却する場合、契約不適合責任を追及できる権利を保全するための期間を契約によって短縮するためには、契約条項の変更が必要である場合があります。



第1 瑕疵担保責任から契約不適合責任へ

 改正前民法における瑕疵担保責任は、改正民法において契約不適合責任として定められました。改正部分について、ここでは売買契約と請負契約に着目して見ていきます。


第2 売買契約


1.      「隠れた」の要件の廃止
改正前民法では、売買の目的物については「隠れた」瑕疵がある場合に、瑕疵担保責任の追及が可能でした。「隠れた」とは、買主にとって善意無過失(瑕疵について買主が知らないし、知らないことについて過失がないこと)であることを指します。改正民法では、この「隠れた」という要件が廃止され、買主が善意無過失でなくとも、契約不適合責任を追及できるようになりました。


2.      責任の内容
 改正前民法においては、解除、損害賠償、代金減額というかたちで、瑕疵担保責任の追及が可能でした。改正民法では、解除、損害賠償、代金減額、追完請求が可能となっています。なお、解除や損害賠償は契約不適合責任の規定によって認められるわけではなく、一般の債務不履行の規定によって認められるものです。改正前と比較すると、追完請求や代金減額が広く認められるようになった点で、基本的には買主の救済手段が拡大したといえます。


3.      責任追及の期間
改正前民法においては、瑕疵担保責任の請求権を保全するためには、瑕疵を知ってから、または契約時から1年以内に売主の担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げる必要があるとされていました。改正民法では、この点がやや緩和され、契約不適合を知った時から1年以内にその旨を通知すれば足りるとされました。ただし、売主が契約不適合につき悪意または重過失がある場合はこの期間制限の規定は適用されません。また、この期間制限は数量不足の場合には適用がありませんので、注意が必要です。
なお、以上の権利保全の期間制限とは別に、各請求権は一般の時効の規律に服します。


第3 請負契約

1.      責任の内容
 請負契約においても、売買契約と同様に、解除、損害賠償、代金減額、追完請求が可能となっています。


2.      土地の工作物についての責任
改正前民法においては、「建物その他の土地の工作物」については、瑕疵があっても契約の解除ができないとされていました。これは、「建物その他の土地の工作物」について解除を許すと、請負人の負担が大きくなり、また社会経済的に損失であると考えられていたためです。しかし、改正民法においてはこの規定が削除され、「建物その他の土地の工作物」についても解除可能となりました。改正前民法と比較すると、注文者にとって責任追及の手段は拡充されたといえます。


3.      責任追及の期間
改正前民法では、瑕疵担保責任の存続期間は原則的には1年、土地の工作物については5年または10年とされていました。この期間中に各権利を行使する必要がありました。改正民法では、契約不適合を知った時から1年以内にその旨を通知すれば、権利を保全できるとされました。つまり、売買の契約不適合責任における責任追及の期間と同様の規律です。請負人が契約不適合につき悪意または重過失がある場合はこの期間制限の規定が適用されないのも売買の場合と同様です。


改正前後を比較すると、土地の工作物についても契約不適合を知った時から1年以内に通知する必要があることになりました。「通知」で足りるとはいえ、期間が大幅に短縮されたため、改正前よりも注文者にとっては厳しい規律となったと評価することも可能です。


第4 実務上の対応

まず契約書において、どのような契約不適合責任が定められているかを確認する必要があります。改正民法における契約不適合責任は任意規定と考えられますので、原則的には当事者間の合意内容が優先して適用されるためです。そのうえで、これは立場(例えば売買契約であれば売主か、買主か)によっても異なってきますが、改正民法を踏まえて、必要な修正を施していくこととなります。